唇にできたヘルペスの原因 - 初感染と再発時の違い

口唇ヘルペスの原因

口唇ヘルペスは、体内に潜んでいたヘルペスウイルスが活性化したことが原因で、皮膚に病変があらわれます。単純ヘルペスウイルスに感染すると、最も出やすい病気が口唇ヘルペスです。口唇ヘルペスの症状が初めて出た場合であっても、既に単純ヘルペスウイルスに感染していたことになります。口唇ヘルペスは「再発型」に分類され、過去にヘルペスウイルスに感染後、体内の三叉神経節に潜んでいた単純ヘルペスウイルスが再活性化したことで症状があらわれます。

※参考:公益社団法人 日本皮膚科学会

発症するきっかけ

口唇ヘルペスの症状を引き起こすヘルペスウイルスですが、再活性化するにはいくつかの原因があります。

発熱
免疫力の低下
過度のストレスや疲労
紫外線
性行為
歯科治療
レーザー脱毛
胃腸障害

上記で紹介している内容は、ヘルペスウイルスを活性化させる要因になっています。歯科治療もレーザー脱毛も、皮膚の神経を刺激する為、ウイルスが再活性化してしまう場合があります。

また強い紫外線を浴びた場合も注意が必要です。皮膚が紫外線を浴びると、日焼けすることは周知の事実です。一般的に紫外線を浴びると免疫力が低下すると言われます。これは、紫外線により傷ついたDNAを修復していると、皮膚の中にがん細胞が発生します。免疫反応によってがん細胞は駆除されますが、通常の免疫が担う外敵処理に加えて、皮膚のがん細胞の処理が加わるため、通常の処理がおろそかになる為、「低下する」と表現されます。

ヘルペスと疲労の関係性

また、最近の研究では、疲労とヘルペスウイルスの関連性が注目されていて、東京慈恵医科大学の近藤教授の研究によれば、慢性的な疲労を抱えていると、唾液中のヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)の量が増え、GWの休暇開けの唾液中のウイルス量は減少した研究データがあります。面白い事に、就労中は88%の人にウイルスの活性化が見られ、休息後は24%の人しか活性化が見られない点です。休息後にも再活性化が見られた24%の内、殆どが慢性的な疲労を抱えていて、十分に休息を取れていないのではないかという点です。未だ謎が多いヘルペスウイルスですが、今後も研究が続いていき、人類との関係性が明らかになれば、疲労やストレスと呼ばれる因子の特定や解明につながるかもしれません。またヘルペスウイルス自体が万病の元と見る医師もいます。近藤教授の研究データを見る限り、ヘルペスとの関連性は極めてつよく、ウイルスという生物の生存本能を見れば、寄生先の宿主が危機に瀕した場合、他の寄生先を探すという行為は自明の理です。

一度感染したら一生付き合わないといけないヘルペスウイルスですが、ウイルスを活性化させずにおとなしくさせるためにも、健康的な生活が一番の予防方法と言えます。

※参考:ヘルペスウイルス感染と疲労 東京慈恵医科大学 近藤一博

初感染時と再発時の違い

日本人がヘルペスに感染する時は、大抵は幼少期の頃となります。日本人の60%以上がヘルペスに感染していると言われている程、ほとんどの人が体にヘルペスウイルスを持っています。ヘルペスウイルスは感染力が非常に強く、口唇ヘルペスのような症状が出ていなくても、月に数度はヘルペスウイルスを口から無自覚に発しているというデータさえあります。会話中に無意識に出てしまう唾液などから飛沫感染して、多くの人に感染してしまいます。またキスや赤ちゃんへの頬ずりでも感染します。このヘルペスウイルスは、性器ヘルペスのように性行為から感染するだけでなく、ウイルスが皮膚につくだけでも皮膚感染を起こしてしまいます。その為、多くの人が子供の頃に親や周りの人から感染してしまうのです。

初感染時の代表的な症状

単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)
ヘルペス性歯肉口内炎・咽頭炎・性器ヘルペス・小児の脳炎・髄膜炎など
単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)
性器ヘルペス・小児の髄膜炎など

参考資料:「新版帯状疱疹・単純ヘルペスがわかる本」本田まりこ 株式会社法研

初感染

人間がヘルペスウイルスに初めて感染する場合、単純ヘルペスウイルス1型であっても2型であっても、体のどこからでも感染し、そこで発疹、水ぶくれ等の症状を起こします。しかし初感染時の90%は自覚症状が乏しい不顕性感染(ふけんせいかんせん)になると言われます。ウイルスはひっそりと人間の体内の神経に忍び込み潜伏します。初感染の時はヘルペスウイルスに対する免疫が無いため、症状が出る場合は重症化しやすく、子どもの頃に発病するより、大人になって初めてヘルペスに感染し症状が出る場合(顕性感染)は重症化しやすいと言われています。ヘルペスの初感染時に症状が起きる場合は、ヘルペス性歯肉口内炎が起きやすくなります。

※参考:あたらしい皮膚科学 清水宏 中山書店

また、先に単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)に感染した場合は、単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)にも感染しますが、先に2型(HSV-2)に感染した場合は、1型(HSV-1)には感染しにくい傾向があるようです。

はじめての口唇ヘルペス

その為、口唇ヘルペスが出た場合は、初めてヘルペスに感染した時では無いのです。初感染時は高熱を伴うことも多く、重症化します。皮膚の疾患も唇周りだけでなく、口内にも出たりします。しかし一般的に言われる口唇ヘルペスでは高熱は出ません。これは潜んでいた単純ヘルペスウイルス1型が再活性化したことで、引き起こされる病状だからです。

再発

単純ヘルペスウイルス1型が潜む三叉神経節は、脳から眼神経、上顎神経、下顎神経へとつながっているため、再発時は顔を中心とした上半身に症状がでます。因みに単純ヘルペスウイルス2型は腰仙骨神経節に潜伏し、支配域である性器や下半身に症状が出ます。

口唇ヘルペスが再発する場合は、初めて発症した箇所と同じ所に起きやすいと言われています。症状も比較的軽くなります。

再発時の代表的な症状

単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)
口唇ヘルペス・角膜ヘルペス・成人の脳炎など
単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)
性器ヘルペスなど

※参考:新板 帯状疱疹・単純ヘルペスがわかる本 本田まりこ 法研